TAOCA COFFEE

からっぽのコーヒーカップ


スペシャルティコーヒーの可能性に人生をかけた、
関西のコーヒーシーンを先頭で牽引しているオーナーの辿ってきた道のりとは。

オーナーの田岡英之さん

芽生える前の兆し

 

大学を卒業するまでは、将来のことをあまり具体的にイメージできていなかったので、東証一部で安定を選びホームセンターのコーナンに就職。
新卒で担当する売り場のレイアウトなどを任される方針のおかげだったのか、その時から商売の面白さに気づき、次第に独立をするという目標が明確になっていく。
ぼんやりとした起業に対する貪欲な気持ちもあった。
その後、もっと間近で経営のノウハウを勉強したいと思い、飲食業界に転職することに。
その時はまだコーヒーで独立しようと思っていたわけではない。

飲むシーンもスペシャルに

新しいコーヒーとの出会い

 

着々と経営の仕組みを吸収しながらも、ある時、日本でのスペシャルティコーヒーの普及を目的としたバリスタチャンピオンシップという大会に出場することに。
そこでのスペシャルティコーヒーとの出会いが今後の大きな転機となる。
当時は、世界的なコーヒーブームもあり東京にもその波が来ていると肌で感じた。
スペシャルティコーヒーが秘めてるポテンシャルに未来を感じ、独立するならコーヒーでいこう、カフェをしようと決意が固まりつつあった。

理想の一杯を

 

運命的な失敗体験

 

在籍していた会社が新業態を作ろうと模索していたところに、開発メンバーとして携わることができた。
ところが関わった事業は、どれもことごとくうまくいかなかった。
この失敗体験を間近で見れたことは今後の運命に大きく影響した。
飲食は難しい、どれだけ数字で見える指標があっても、博打とは行かないまでも実際にやってみないとわからない部分がある、そう感じた。
コーヒーで独立するには2つの選択肢があって、飲食(カフェ)か豆売りか、どちらもメリットデメリットがある。
飲食は水商売と呼ばれるように、当たれば利益は大きいけど、はずれた場合の損失が大きい。
豆売りはその反対で、利益の振り幅は少ないけど、堅実な経営ができ効率がいい。
目の前で見てきた失敗があったので、豆売りの方に気持ちが傾いていく。

 

重なるタイミング

 

でもまだ迷っていた、すでに自分には家族がいたから。
言っても飲食業界の給与水準はまだまだ低い、このままの給料で家族を養えるのか、独立をして大丈夫なのか、豆売りでいくなら焙煎の知識もない。
家族を守るために飲食業界から足を洗って違う職種に就くことも考えていた。
ちょうどその時に社内でフリーエージェント制度があって、会社が持っている焙煎工場に移動できたのは好転機だった。給料をいただきながら焙煎の技術を学べる。
その時、東京ではすでに惚れ込んだスペシャルティコーヒーの波が来ていて、関西にもその波がやってくるに違いないと確信したので、今がチャンスだと思った。
焙煎工場では1年だけ勤めた後、早々と苦楽園という街に豆売りのお店として念願の独立を果たした。

決して便利とは言えない場所にお客様が集まる

 

堅実な営業

 

開店から半年が経った頃から、少しずつ軌道に乗っていく実感が持てるようになった。
豆売りは地域のお客様にどれだけ信頼してもらえるか、いいスタッフにも恵まれ良質なコミュニケーションを意識して、スペシャルティコーヒーの魅力を伝えることを実直に継続していった。
数字を見るのが好きでデータ分析は得意。
縁もあって早いタイミングで、岡本に2号店をオープンするが、思ってたよりもいい結果が出せず、人の教育が追いついてないまま少し出店を急いでしまったかもと当時を振り返る。
次第にスペシャルティコーヒーやお店のブランドとしての認知度も上がっていき、次は設備面や管理面で2店舗では追いつかなくなってきたので、兼ねてより望んでいた焙煎をメインにできる場所を求めて、3店舗目となる鷲林寺店をオープン。
市街地に比べるとはるかに人通りが少ないので、当面の赤字は覚悟していたものの蓋を開けてみると予想以上の来客だった。
それは堅実に積み上げてきた日々の営業が、お客様の認識にスペシャルティコーヒーのブランドとして浸透していた結果なのだろう。

コーヒーで、日常に彩りを

 

コーヒーへのこだわり

 

オリジナルはないと謙遜するが、生豆の選定、抽出、焙煎の全てにおいて甘さを引き出すことにこだわっていて、飲んだ瞬間に美味しいと思えるかどうかを大切にしている。

洗練された店内

 

これから望むこと

 

まだまだコーヒー業界も薄利多売で対価が低い状況をなんとかしたい。
生産者にもっと利益を還元できるようにと唱えるよりも前に、自分たちの生活が安心して暮らせるように考えることがまず第一で、そのためには職業としてのバリスタの地位を確立させることが大事。
店舗展開も岡本店の経験があるので、急がずにいい場所との出会いがあったらというスタンス。
それよりも今抱えている店舗のベースをしっかり整えていきたいと、ここでも堅実さが垣間見える。
一般のお客様以外に、店舗向けに卸しの事業もやっていて、単価が安いので売上規模は少ないけど、自社ブランドの豆を通してお客様がどう関わっているのかが見える場所なので、つながりをもっと深くして共創していくことに注力したいと願っている。

人柄が映し出されるスタッフ教育
憧れの大きなロースター(鷲林寺ロースタリー)

編集後記

とにかく人生も仕事も、いかに失敗する可能性を減らして、考えられるリスクを消していくか、堅実な土台があってこそ確実に当たりを引き寄せていく戦略家。
数字に目を凝らし、分析を重ね、目先の利益よりも長期的な視点を大事にしている。
他力本願だと連呼していたけど、いい意味でからっぽだからこそ、いろんなことを吸収して適切なことを選ぶセンスに長けているのではと思いました。
何よりもスタッフの愛嬌や親しみやすさはオーナーの人柄を示すそのものなので、人選と教育もしっかりされているという印象でした。

( 写真 = 田岡 英之   文 = 大野 宗達 )


自家焙煎のスペシャルティコーヒー専門店
(主に豆売り、一部カフェ利用可)


苦楽園本店 10:00-19:00  [ 月曜:10:00-18:00 ]
兵庫県西宮市樋之池町22-24
0798-73-1152

神戸岡本店 10:00-19:00  [ 月曜:10:00-18:00 ]
兵庫県神戸市東灘区岡本1-13-16
078-778-5243

鷲林寺ロースタリー 10:00-19:00
兵庫県西宮市湯元町1-8
0798-56-8282

https://taocacoffee.jp/

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