見えない価値

現在インターネットには数字や点数で評価するグルメサイトは溢れています。
確かに数字を判断基準にすると便利です。
でも点数が高いからといって必ず美味しいとは限りません。
口コミやレビューも知らない誰かの感想は、本来信頼性がないはずです。
お店の価値は数字で計れないものがあります。

正解のない不確実な時代、価値観も多様になりました。
もはや一つの事象に対していいや悪いの判断は個人に委ねられていて、
決して押し付けるものではありません。
個人がどう思うかを大切にして、他者との違いを受け入れる。
その文脈で考えると、これからはアート的な価値が求められているような気がします。

よくアートのジャンルとして表現されるインスタレーションという言葉は、
作品を観るというより作品の中に入る、空間を含めて自ら体験することを指します。
空間を演出するには、音や光や奥行きなど、構成する要素は多岐にわたり、
作者の思想も含めてプロデュース的なバランス感覚が重要になってきます。
俯瞰して見るならば、交わす会話も、発生する音も、料理の匂いも、
空間の中に成立するインスタレーションであると言えます。
もっと視座を高くしていくならば、
建築も、歴史建造物も、街も、国も、人間の思考から生まれた、
壮大なインスタレーションの中に存在しています。
その発想でいくと、特に個人の強い思想がつまったお店は立派なインスタレーション作品と言えるのではないでしょうか。
飲食店だけに限らず、雑貨屋さんも、美容室も、そのお店の集まりが街を作り、文化をも育んでいきます。
お店も作品だと解釈するならば、アートという楽しみ方も出来るのではないかと感じています。
食べる楽しみ以外にも、観る楽しみ、人と接する楽しみ、空間を感じる楽しみ、新しい意味を与えることができたら、もっと世界が広がる可能性はじゅぶんにあるはずです。
限られた資源の中でなにができるか。
まだまだ見つかっていない、いや、あるのに見えていない価値を、この場所で探していければと思っています。